「おやゆび」
黒崎 彰 (版画家)
黒崎彰【1977年作「おやゆび」— 精神と肉体の交錯】
本作**『おやゆび』**が制作された1977年は、黒崎彰のキャリアにおいて、初期の「闇」や「深淵」をテーマにした時代から、より構成的で鮮烈な色彩を放つ成熟期へと移行する重要な転換期に当たります。
1. 象徴としての「親指」
画面中央に鎮座する二つのフォルム。それはタイトルにある通り「親指」を暗示していますが、単なる身体の一部としての描写ではありません。青く発光するような爪、そして深く沈み込むようなグラデーション(ぼかし)を纏ったその姿は、人間の意志や存在そのもののメタファー(暗喩)のように感じられます。
2. 空間を切り裂く「赤い糸」
特筆すべきは、画面を縦横に走る鮮烈な赤のラインです。ある時は指を縛り、ある時は空間を自由に漂うこの線は、生命の鼓動や、人と人を繋ぐ宿命、あるいは精神の神経系を連想させます。静謐な背景のテクスチャと、躍動する赤い線の対比が、画面に心地よい緊張感を与えています。
3. 木版画の極致「黒崎ブルーとぼかし」
黒崎作品の真骨頂である、深く透明感のある「青」と、木版とは思えないほど滑らかな階調。150枚という限定数(エディション)でありながら、一枚一枚に宿る摺りの密度は圧巻です。緻密に計算された構図の中に、偶然性をも内包したような複雑な背景の表情は、観るたびに新しい発見を与えてくれるでしょう。
制作から40年以上が経過した今なお、この作品が放つモダンな輝きは衰えることがありません。 「おやゆび」という卑近な題材を借りて、宇宙的な広がりさえ感じさせる黒崎彰の美学。それは、伝統技法という「制約」の中で、どこまで精神の「自由」を表現できるかという、作家の果敢な挑戦の記録でもあります。
貴方のコレクションに、日本の現代版画史に燦然と輝く「知的なエレガンス」を添えてみてはいかがでしょうか。
作品詳細
作家名: 黒崎 彰
作品名: おやゆび
技法: 木版画
制作年: 1977年
エディション: 98/150
サイズ:絵寸 h16㎝×w22㎝ 額寸h30㎝×w39.2㎝
素材:紙
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