「立田川」
小林古径 (日本画家)
近代日本画の頂点を極めた巨匠、小林古径筆「立田川」― 清澄なる秋麗の詩情、その真髄に触れる
この度、私どもの画廊秘蔵の一点としてご紹介いたしますのは、近代日本画壇において、その清澄かつ格調高い画風で独自の境地を切り拓き、後世に多大な影響を与え続ける巨匠、小林古径(1883-1957)による真筆「立田川」でございます。寸法は天地137.2cm、幅51.4cm。作家自身の手による署名と落款が記された共箱が付属し、その来歴の確かさと作品の価値を一層高めております。
古径芸術の神髄は、徹底した写生に基づく精緻な描写力と、古典文学や大和絵の伝統に対する深い理解に根差しながらも、常に現代的な感性で普遍的な美を追求した点にあります。「立田川」は、古来より『伊勢物語』や『古今和歌集』などに詠まれ、紅葉の名所として日本人の心に深く刻まれた景勝地。古径はこの詩情豊かな伝統的主題に、静謐さと清冽な気品を湛えた独自の解釈で臨みました。
画面を満たすのは、錦織りなす秋の情景。燃え立つような深紅の紅葉と、穏やかな黄葉の木々が織りなす色彩のハーモニーは、観る者の目を奪います。その一枚一枚の葉に至るまで神経の行き届いた繊細な筆致は、古径ならではの写実の極みと申せましょう。木立の間に佇む古雅な装いの人物は、鮮やかな紅葉の美しさに心を寄せ、静かに秋の深まりを味わっているかのようです。この人物の存在が、単なる風景画を超え、観る者を絵画空間の奥深くへと誘い、画中の人物と一体化してその詩情を共有するかのごとき体験をもたらします。
本作「立田川」は、古径の一連の作品群、特に古典や自然を主題とした風景画の系譜において、その洗練された構図、抑制されながらも豊かな情感を宿す色彩感覚、そして画面全体を包む清澄な空気感において、まさに古径芸術の円熟期を代表する傑作の一つと評し得る風格を備えています。背景の余白を生かした空間処理は、秋空の無限の広がりと、そこを渡る風の気配までも感じさせ、深い精神性を湛えた情景を創出しています。散り敷かれた紅葉は、あたかも在原業平が詠んだ「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」という不朽の歌境を、現代の感性をもって見事に昇華させたものと言えましょう。
この一幅を座右に置くことは、日々の暮らしの中に、日本人が長らく愛してきた秋の美の精髄を取り入れることに他なりません。格調高い表装もまた作品の品位を高め、床の間やリビングなど、お客様の大切な空間を、静謐ながらも華やかな気品で満たしてくれることでしょう。小林古径という巨匠が到達した芸術の高みに触れ、その美を次代へと語り継ぐ喜びは、美術愛好家にとって無上のものと存じます。
ぜひこの機会に、画廊にお越しいただき、小林古径が描き出した永遠の秋の詩情、その深遠なる美の世界を心ゆくまでご堪能くださいませ。実物を前にしたときの感動は、言葉ではお伝えしきれないものがございます。
サイズ:h137.2✕w51.4 (共箱)東美鑑定証付
素材:絹本、彩色
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