「グロキシニア」
北川民次 (版画家)
北川民治 作「グロキシニア」― 魂を揺さぶる生命の賛歌
ここに、単なる花の絵という言葉では到底語り尽くせない、観る者の魂を根源から揺さぶる一枚があります。日本近代洋画の巨匠、北川民治が手掛けたリトグラフ「グロキシニア」です。
画面から溢れ出すのは、植物が持つ根源的な生命のエネルギーそのものです。北川の代名詞ともいえる、黒く、力強く、そして躍動する輪郭線。それは単に形をなぞる線ではなく、対象の内なる生命のリズムを捉え、刻みつけた痕跡といえるでしょう。大胆にデフォルメされた葉や蕾は、メキシコの乾いた大地と灼熱の太陽を吸収し、野性的なまでの力強さを獲得しています。
中央で燃えるように咲き誇る一輪の赤いグロキシニア。その鮮烈な赤は、周囲の深い緑と白い蕾との劇的な対比を生み出し、観る者の視線を一瞬にして捕らえて離しません。これは画家の情熱の現れであり、混沌とした世界の中に存在する、一点の揺るぎない生命の輝きを象徴しているかのようです。
北川民治は、若き日にメキシコへ渡り、リベラやシケイロスら壁画運動の巨匠たちと交流しました。 この作品にも、彼がメキシコの風土と人々から受けた深い影響、その「太陽と土の匂い」が色濃く反映されています。民衆のたくましい生き様への共感と、社会への鋭い眼差しを内に秘めたその作風は、この「グロキシニア」においても健在です。
この一枚は、北川芸術の真髄が凝縮された傑作です。それはお部屋に彩りを添えるだけでなく、空間そのものに力強い生命感と、日々の暮らしを鼓舞するようなエネルギーをもたらしてくれるでしょう。ぜひ、作品の前に立ち、北川民治がカンヴァスに刻み込んだ、ほとばしる生命の息吹を心ゆくまでご体感ください。
サイズ:額寸h53×幅63㎝ 絵寸h42×幅47cm
リトグラフ
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